伝統芸能 その他もろもろ

伝統芸能の公演やお稽古に関すること。舞台の感想など。

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『近代能楽集』 美輪明宏 主演  三島由紀夫 作


ル・テアトル銀座にて美輪明宏の舞台を観てきました。
演目は三島由紀夫の「近代能楽集」より「葵上」と「卒塔婆小町」。
三島由紀夫が能の演目を三島流にアレンジした作品です。
PARCO公演情報(公演詳細はこちら)

会場のル・テアトル銀座
ル・テアトル銀座


受付ロビー
会場内は女性8、男性2の割合でした。
踊り場


さまざまな業界の著名人からお祝いの花がおくられていました。
ボード

開演前
舞台

舞台はすばらしかったです。
これは実際に見ていただく他ないですね。
東京での公演は残りわずかですが、これから地方公演がはじまるので興味のある方は是非観ていただきたいです。

今回の舞台と、能との一番の違いは小町の心情です。
能では(原典の説話でも)小町と少将は結ばれません。それどころか小町は少将をもてあそんでいます。
一方、この舞台での小町は相手を思いやる優しさをもっています。

以下、小野小町の説話と能「卒都婆小町」、今回の舞台について概略を書いておきます。

【小野小町の説話】
中世以降、小野小町と深草の少将の説話が広く流布していました。
話の筋は次のような感じです。

  深草の少将は絶世の美女と名高い小野小町に恋をします。
  小町は「百日続けて私のもとへ通ったならば、あなたの想いを受け入れましょう。」と条件をつけます。

  少将は雨の日も風の日も小町の屋敷に通い、通った証拠として小町の牛車に線を刻んで帰ります。
  ついに百日目の夜となり、「今夜想いがかなう」まさにその夜、少将は亡くなってしまいます。

これが有名な百夜通い(ももよがよい)の説話です。
能もこの話をモチーフに作られています。

【能のあらすじ】
百歳(ももとせ)の老婆が登場。
老婆は自分こそ、小野小町の変わり果てた姿だと述べる。
小町に少将の霊が憑依して、百夜通いの様を再現する。(一人二役)
僧侶に成仏を乞いつつ終わる。

【今回の舞台】
舞台は現代の公園。
ボロをまとった老婆が登場。ベンチに腰かけ、拾った煙草を数え始める。
若い男(詩人)が登場。老婆の隣にすわって話しかける。
老婆は自分の往時を語る。

舞台は80年前の鹿鳴館へさかのぼる。
老婆は純白のドレスをまとった若い麗人の姿となり、タキシード姿の詩人と踊る。
詩人は女の美しさを称えようとする。
女は「わたしを美しいと言った男は必ず死ぬ」と、詩人を思いとどまらせようとする。
詩人は制止を聞かずに「あなたは美しい」と述べる。
詩人、脱力して横たわる。

舞台は再び現代へ。
詩人はベンチに横たわっている。
ボロをまとった老婆は詩人に背を向けている。
巡邏の警官が登場。詩人が死んでいることに気づく。
詩人の亡き骸、運び出される。
老婆は煙草を数え居る。


【演出に関して】
美輪明宏さん演出に関する考え(パンフレットより抜粋)

「メークは今迄演じられて来た老婆のままの形式を止め早替りをする為特殊メークとした。 (中略)
小野小町と深草少将の悲恋物語である。これ迄の上演では傲慢で不気味な老婆として最後の科白
 『酔っぱ払ってやって来てあたしに色気を出しやがるんですよ』
と自分の為に死んだ男に対して死者を冒涜する如き言葉を吐くいやな性格の女として演じられて来たが、此度はその部分を削除した。 (中略) 全き愛は無意識なる自己犠牲である。老婆は愛する詩人を救わんと美女の誇りをかなぐり捨て己を醜いと認めさせむとし、一方詩人は愛する者への賛美の一と言を捧げむ為に命を賭ける。
それ迄は、詩人のみに美女と映っている老婆の姿が観客にはそれが逆説的手法と解ってはいても、どうも気持ちの居ずまいの悪いものになっていた。それを今回は以前三島氏に諒解を得ていた通りに逆説のその又逆説として見た目も美女らしく変身する方法を探った。 (中略) ハイブロウで難しい芝居をいかに解り易いと云うか、むしろ通俗的にすら感じられる程に優しく易しい芝居に噛み砕いて観覧に興するのが真の役者の演技であると思っているからである。」(抜粋おわり)


【おわりに】
三島由紀夫のト書きどおり演じると、美しい小町の姿は詩人の幻ということになる。
一方、今回の演出のように小町が純白のドレス姿となると、まさに80年前にタイムスリップしたような感覚。
現代の公園での老婆と詩人の出会いは80年前に約束されていた、とも解釈できる。
もちろんフィクションであるので、見る人の解釈しだいですが。

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  1. 2010/05/07(金) 13:17:36|
  2. 現代演劇
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